昔々、ある所にやさしいおじいさんと意地悪なおばあさんが住んでいました。

おじいさんは雀が大好きで我が子のように可愛がっていましたが、おばあさんは雀は大嫌いでした。

ある日、おばあさんが庭で洗濯をしていると、雀が飛んできて洗濯のりを食べてしまいました。

おばあさんはとても怒って雀を捕まえると、舌をちょん切ってしまいました。悲しくなった雀は山の方に飛んで帰りました。

おじいさんはこの話を聞くと、その雀をあわれに思い、雀を探してお詫びを言うことにしました。

おじいさんは、山の中を、「舌きり雀のお宿はどこかいな。」と言いながら歩いて行きました。

おじいさんは、やっとのことで、竹やぶの中に雀のお宿を見つけると舌きり雀に会えました。

「申し訳ないことをしてしもうた。大丈夫かな。許してくれ。」
「わざわざお越しいただきありがとうございます。とてもショックでしたが、私が悪かったのです。夕飯でも召し上がって下さい。」

おじいさんは、その晩は雀のお宿で過ごしました。

次の朝、おじいさんが家に帰るとき、雀がこう言いました。

「これは私たちのお土産です。大きい箱と小さい箱がありますが、どちらがいいですか。」
「どちらも結構じゃが、どうしてもと言うのなら、小さいほうでよかろう。」

おじいさんは背中にお土産を背負って家に帰り、さっそく中を開けて見ると、大判、小判、着物、色々なものが入っていました。

おばあさんはおじいさんに言いました。

「どうして大きいのも持ってこなかったの。私が行って持ってくる。」

おばあさんは、「舌きり雀のお宿はどこだ。」と言いながら竹林の中に入って行きました。
おばあさんは舌きり雀に会いました。

「どうしてここに来たのですか。」
「お前さんに会いたくなったのさ。可愛がってやったからね。」
「そうですか、それではお入り下さい。」
「直ぐに、お土産の用意を。もちろん大きな箱。」

おばあさんは、やっとのことで背中に大きな箱を背負うと雀のお宿を去りました。

おばあさんは帰り道、箱の中身を見たくて見たくて仕方ありません。道で箱を下ろすと、ふたを開けて中を見ました。

何と、蛇や、お化けや、ムカデや、恐ろしいものが次から次へと出てくるではありませんか。

おばあさんは腰を抜かして気を失ってしまいました。欲をだしてはいけませんね。

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